11月末、仕事中、急に胃が痛くなった。おさまるかと思ったが、
夕方になってますます痛みが強くなり、早退させてもらった。
タクシーに乗って、やっとの思いで家に着く。
6時頃、近所の医者で見てもう頃には吐き気もして、
診察まで待つことが出来ず、ベッドで寝かせてもらった。
見るからに頼りなさそうな、「見栄晴」似の医者は、いつもどおり、
「お腹の風邪やね。点滴うっとこう」
だいたいそれでおさまるのだが、今回は痛み止めの点滴が効かない。
のんきそうな見栄晴の顔が引きつっている。
「もう少し大きな病院で診てもらおか」
10分ほどして、救急車がやってきた。
徳島の事件の話題で持ちきりだった
待合室のオバチャン達の関心が、一気に私に集まる。
自分たちも具合が悪くて来てるのに、
「救急車到着」の非日常に居合わせたからか、
興奮してる様子が伝わってくる。
なんかえらいことになってきたなぁ。
でもお腹の痛みと吐き気はハンパじゃなかった。
仕事が忙しくなる時期だったので、食べ物も気をつけていたのに……。
父と一緒に救急車には何度か乗ったが、自分では初めて。
もうちょっと元気ならタクシー乗って自分で行くんやけど。
申し訳ないなぁ、と思いつつも、
救急車の中では寝かせてもらえず、揺れまくりで大きな病院に着いた。
病院ではインフルエンザの検査や血液検査をしたが、特に異常なし。
「健康体そのものやね」
と、女医さんはこんな時にミョーな太鼓判を押して、
原因不明の腹痛に首をかしげている。
そうこうしているうちに、ゴローが会社を早退して来てくれた。
息を切らせて心配そうに駆けつけてくれた、と言いたいところだが、
「どーせなんかヘンなもん食ったんだろう」
とでも言いたげに、ビミョーに笑っている。
ホンマに痛いんやって!!
2時間ほどしてようやく痛み止めが効いてきた。
今度ばかりは、ヤツに同情した。
「シンゾー君よ。確かに腹が痛くてインドはキツイわなぁ……」
目次
コメント