キャンディーズが突然、「普通の女の子に戻りたい!」と言って「解散宣言」をしたのは、私が小学校4年生の時だ。
昭和ヒトケタ生まれの父は、当時46才。
「司馬遼太郎」も好きだけど、キャンディーズも大好きだった。
しかし「解散コンサート」の日と海外出張が重なってしまい、どうやりくりしても都合が付かず、本当に残念そうだった。
玄関で見送る時に、
「お父さんの代わりに、絶対解散コンサート見といてな!」
と、私に念を押した。
そして数週間後、父は満面の笑顔で帰ってくるなり、私に尋ねた。
「スーちゃん、泣いたか?」。
おみやげを楽しみに、なにより久しぶりに父に会えるのを待ち望んでいた私は、その一言に呆然とした。
中学生だった姉は、なにかにつけ父に「中年のオッサン」と言っては避け、冷ややかな視線を送っていたが、この一件で、私も一気に「父離れ」となった。
こんなことを思い出したのは、オリンピックで銀メダルを取ったときの浅田選手のインタビューが繰り返し放映されたからだ。
久々の「若くてかわいい女の子の涙」は、メダルの種類より、オッサン達を喜ばせたことだろう。
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