五木寛之

09年末の週刊ポストに、
「不運な時代を折れずに生きる知恵」と題した
五木寛之の記事が載っていた。
「経済成長をすることはないだろう」と前提し、
「今は夜の時代」を自覚し、
「暗闇の中をどう歩くか真剣に考える」「下山の思想」を述べていた。
さらに「鬱状態」を枝の「雪吊り」に例え、
「俺の心は宿業や人生の目標を背負ってしなっているんだ。心が萎えているのは弾力性も生命力もある証だ」
と肯定的にとらえている。
そして国家や会社とは関係ない、趣味でも地域でも横の連帯に救いを求めることをすすめていた。

「今、私たちは長い下山を始めたばかりで、これからどんどん高度を下げながら、坂の下の暗い霧に向けて歩いていかなければならない。ちょっと小休止して、腰を下ろし、靴ひもを結び直す。水・食料を補給しながら地図を広げ、現在点とつぎの目標点を確認する。歩き始めて寒さが出てきたなと感じたらリュックからコートを取り出して体を温める。決して焦らず、周囲に目を配る余裕を持ちながら、一歩一歩、着実に目的地を目指す。時には仲間と遊ぶことも忘れずに・・・」

以前、子規博で「坂の上の雲」の時代と松山をテーマに五木寛之氏の講演会があった。
その際、五木氏は「明治を明るい時代」と評価する声に、「どの時代も光と陰があり間違っている」と指摘。その象徴として「坂の上の雲」が高度成長の応援歌のようにして読まれていることを「司馬さんとしても苦々しい思いだろう」と、日頃市長なんかが言ってることを全否定しちゃったことがあった。

このたびの記事の「坂の下の暗い霧」は「坂の上の雲」へのアンチテーゼとみた。

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