サカクモ氾濫

ドラマ放映を控え、「坂の上の雲」関連本の出版が続いている。
NHK出版は関連本を2冊、文藝春秋は企画本を出版、
中央公論12月号は関川夏央と成田龍一の対談を載せ、
週刊朝日も連載企画、サライも今月号は特集を組んでいる。
(いちいち市長が顔写真入りで載っているのが気に食わん)
松江の書店でも「サカクモコーナー」が設けてあった。
並べられた出版物を見渡すと、
表紙を見れば中身がわかるような「秋山兄弟」賞賛本がほとんど。
歴史学者の中塚明(奈良女大名誉教授)の著作がコーナーに並ぶことはない。
10年ほど前にようやく公開された「極秘海軍史」検証し、
海軍の隠蔽体質や、作り上げられた「海軍像」「秋山真之像」を批判した、
木村勲氏著「日本海海戦とメディア」もよい本だった。
こういうまともな検証本こそ、もっと広く読まれたらいいのに。
ところで、「サカクモ批判本」で増刷しているのは、
「坂の上の雲に隠された真実」(というタイトルだったと思う)。
「明治は明るく昭和は暗い」という「司馬史観」を、
「昭和は暗くない」(確かにそうなんだけど)、「乃木は愚将ではない」
と、さらに「右」からの司馬批判・・・。
「坂の上の雲」の主人公の出身地である松山市が、
「まちおこし」に小説を利用しようとした時、市民から反対の声が挙がった。
それに対し、市長や役所からは
「軍記物ではありません。3人の青春群像です」と
何度も同じ「説明」(言い訳)を繰り返した。
けど、今こうやって、松山から離れた町の本屋を見渡しても、
松山市の「意志」なんて鼻毛のようなもの。
吹き飛ばされりゃそれまでだ。(そりゃそーだ。)

松山の「まちかど情報案内板」(年間維持費5千万円)に、
サカクモミュージアム(年間維持費約2億円)の第3回企画展
「秋山好古」についてアップされていた。
http://www.sakanouenokumonomachi.net/2009/07/

目玉は「近衛騎兵服」。
「肋骨服と呼ばれる特異な形は軍服とは思えないほど
モダンで鮮やかな色彩です。ぜひお見逃しなく」だって。
そっか。では「モダンで鮮やか」なオサレ~な「軍服」とやらを
ひとつ見に参るか。・・・なんて思うと思うか? フツー。
もしかして陸軍はフランスから学んだから、
軍服もオサレとか解説が付くんやないやろな?
こんな調子じゃ「とんでもミュージアム」になりかねないぞ!

 

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