10時と3時はお茶の時間

入居後、提出書類があり、再び不動産屋さんへ。
市内観光から車庫証明までなにかと面倒を掛けたので、
神戸の洋菓子を手みやげに持っていく。
すると営業時間というのに店には誰もいない。
パソコンも机もそのまま。不用心やで。
「ごめんくださ~い」。3度ほど大きな声を出し、
ようやく奥からオバチャンが出てきた。
「ごめんなさいね。ちょうどこれからお茶にしようとしてたの。
よろしかったらどう?まぁ、おかけになって」
急いでるわけでもないのでお言葉に甘える。
お茶はオジサンが入れてくれた。
「ああ、ちょっと濃かったかな」
緑のふくよかな香りのお茶。
「おいしいですね。白折ですか?」
白折とは松江名物のお茶に抹茶をまぶしたものだ。
「いえいえ、これは煎茶に抹茶を混ぜたものです。
煎茶だけだとお湯を冷ましたり時間がかかりますけん。
わしら待っておれんけん、これだと早い」
オバチャンが、「どーぞどーぞ」と例によってお菓子を出してくれる。
さらにオバチャンお手製のキクラゲの佃煮もいただく。
甘いのもしょっぱいのも、どっちともお茶に合う。
書類を出しにきただけなのに、ついでに地元情報収集。
郷土料理やお茶を教えてくれる所、城の茶店でおばあちゃんがつくる桜餅がうまいだの、誰々さんが物知りだの。
そうこう話している内にお客さんが手みやげを持ってやってきた。
ひょっとしてこの人たちも市内観光付きだったのかな?

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