寝床から這い出してきたぼさぼさ頭の鬼コーチが「朝から特訓やぞ」と言って、ナスをぐいっと押しつけてきた。朝練まであるんかあ?
「みそ汁にするから、3センチぐらいを薄切りにせい」
「水の量は?」と尋ねると、
「自分らがのむ量に決まってるやろ。2人ならお椀2杯や」。なるほど。
鍋に水を入れて、能登半島・輪島の「輪島海美味工房」から取り寄せたアゴ(トビウオ)のダシを2かけら投入する。粉末なら大さじ2杯分。おいしいアゴだしは抜群のうまみが出るから、慣れると昆布やカツオにもどれない。
中火にかけて沸騰したら弱火にして5分ぐらい煮出す(フレーク状態なら3,4分)。「昆布やカツオは煮立ったら終わりだけど、アゴは身の方に味が残らないくらいまで煮出すんや」
冷凍しておいたあぶらげとナスを入れてガスを止め、余熱で火を通す。
ミソは2杯分だから大さじ1杯強(1人分なら大さじ1杯弱)
「調味料は人数が倍になっても倍にしたらあかん。砂糖でもしょうゆでもちょっとずつ減らしていくもんや。極意やからよく覚えとけ」と鬼コーチはもったいぶっていた。
次は卵焼き。
きのうゆでてみじん切りにしておいたモロヘイヤに、卵2個を割り入れる。
やわらかくするため、酒または水を大さじ1杯(オムレツならミルク)
砂糖(小さじ1弱)、薄口しょうゆ(小さじ1弱)、塩をほんのひとつまみ。
よく混ぜて、油(大さじ1)を敷いたフライパンをあたためてから、ざっと流し込む。
大きく箸でかき回して、全体に火が入るようにする。かきまぜすぎないように。
卵に火を通すときは弱火にして、卵自体がふんわりするのを待つ。卵をおりたたんで、形を整えたらできあがり。箸で成形していたら「ギュッと押したら、カチカチになるぞ」と鬼コーチの怒声が飛んだ。
「きょうはフライ返しを使わせてやったけど、フライ返しを使ったら洗いもんが増えるだけや。箸だけでやれるまで練習せい。手首で返すんや。手ぬぐいで返す練習でもするか?」
居残り練習っすか? 遠慮しときます。
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