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北前船の起点 住吉大社と天保山 信仰に支えられた経済活動202110
住吉大社は熊野古道を歩く途中立ち寄った。古道は住吉大社の東にあり、裏口から参拝する形になった。 今回、住吉大社が北前船と深い関係があると聞いて再訪することにした。 住友の基礎をつくった江戸時代の銅産業 南海電鉄の住吉大社駅をおりると住... -
歩きつづけた近江商人 武器は情報力202109
ネットと市町村史 ネット上には情報があふれているが、問題意識をもたずに漂うのは、分厚い市町村史を頭から通読するのに似た徒労感に襲われる。でも具体的な関心や疑問、「調べたいこと」があれば市町村史もインターネットも一転して有益な情報源になる... -
千年の灯がともる「山寺」が生みだした経済と文化
岩にしみいるセミとは? 閑さや岩にしみ入る蝉の声 有名な松尾芭蕉の句は「山寺」と呼ばれる山形市の立石寺で詠まれた。 斎藤茂吉はこの蝉をアブラゼミと主張し、小宮豊隆は「しみいる」というのはアブラゼミに合わないことや、詠まれた日は7月上旬で... -
北前船の終着駅 江差は惑星大アンドロメダ202108
もろかった「最後の城」 函館でレンタカーを借りて西へ走った。海をへだてて函館山を見ると、函館は巨大な陸繋島であることがわかる。知内町の道の駅の展望台から青函トンネル入口をながめ、津軽半島を望む白神岬をへて松前の町に入った。 町役場の裏山... -
ニシンが生んだ最北の酒蔵
ニシン番屋の記憶 石狩川河口付近を渡って日本海岸を北上した旧厚田村の道の駅に能登半島(石川県)の酒を売っていて驚いた。旧厚田村が旧門前町と友好都市だったため、今も石狩市と輪島市の交流があるのだ。輪島に住んでいたころ、市長がしばしば石狩市... -
石狩河口、縄文人も缶詰工場も鮭が支え202108
札幌市の南西にそびえる藻岩山(531メートル)頂上から眺めると、間近に日本海が広がり、札幌は日本海側の都市なのだとわかる。大雪山系石狩岳を発してうねうねと蛇行して海に注ぐ石狩川(268キロ)がつくりあげた平野なのだ。北海道の中核部をつくりあ... -
小樽と北前船と戦後日本の盛衰202108
北海道最古の鉄路 函館本線の小樽駅に降りると、坂のずっと下に海がのぞいている。海に向かってちょっと下ると、古い線路と交わった。 北海道で最初の鉄道である官営幌内鉄道(手宮−札幌−幌内)の一部として1880年(明治13年)に開通した旧国鉄手宮線の... -
余市 ニシンとリンゴとウイスキー202108
NHKの連続テレビ小説の主人公「マッサン」こと竹鶴政孝はなぜ北海道の余市でニッカを創業したのか。余市の風土や歴史はマッサンにどんな影響を与えたのか。余市を訪ねてみると、かつて隆盛を極めたニシン漁や、会津藩士による開拓とのかかわりが見えてき... -
大地のエネルギーを体感 有珠山麓の噴火跡202108
洞爺湖沿いの有珠山(737メートル)は約30年に1度、噴火をくり返している。 2000年3月には、西山山麓に新たな火口がいくつも出現し、国道と町道を寸断した。新しい火口群を巡る散策路を歩いてみた。 洞爺湖温泉から歩いても30分ほど。山麓の畑のなかを... -
十津川と新十津川202108
山と谷しかない免租の村 【役場周辺でさえも平地がわずかしかない】 奈良県十津川村は、熊野古道・小辺路の取材で2015年に訪れた。 全国一広い(672平方キロ)村だが、山と谷の連続で平地はわずかしかない。明治の大水害前の田の面積は235町(235...