■20130816(木)
別当出合を8時15分。標高1260メートル。
登山スタイルも色とりどり。50分ほどで中飯場(1480メートル)を通過する。アブラゼミの声が響き、アジサイが登山道を彩る。
標高をあげるにしたがって花は増えていく。
10時50分、建て替えたばかりの甚ノ助小屋(1970メートル)周辺は登山客がいっぱい。古い小屋のあった広場はベンチがってのんびりできる。
20分ほどで室堂方面との分岐。
南竜への道は等高線に沿った上下が少ない散歩道だ。進むにつれて花が増えていく。
日光キスゲの黄色い花があらわれる。室堂に向かうエコーライン方面の斜面は一面に咲いている。
足元にはミヤマキンバイやチングルマ……百花繚乱だ。
南竜ケ馬場には12時すぎに到着。は三方法を山に囲まれた広々とした草原だ。川の流れが心地よい。
テント場までの10分の道のりの花がまたすごい。(テント設営料300×2=600円)
テントを立ててから、昼食兼夕食をつくる。ビーンズとトマト缶を入れた野菜カレーにチーズをトッピングする。
飯を食ったあと、キャンプ場のトイレが汚いからサルは山荘へ向かう。
その間、オレは途中の川で水浴び。シャツをぬいでタオルで体をぬぐい、頭を洗う。
子どものころはこんな川があれば1日中でも遊んでいた。いつの間にか、尻にしくクッションやらなんやらがないと快適だと思えなくなっている。
雲が出てきてテントにもどる。
黄、オレンジ、緑、青。色とりどりのテントの前に座って、バーナーを燃やして夕食をつくっている。
ジュージューと炒め物をする人はそのためのフライパンのような道具をもってきている。
枝豆をゆでているおじさん、ビールが好きなんやろなあ。
霧が流れる山で野太いウグイスやその他の野鳥の声が響く。
気温は20度。
さすがに長袖の薄いシャツだけでは肌寒い。
■20130817(土)
夜、夏用シュラフでは寒い。テント内で13度。冬用の毛のカッターシャツを着込み、ジャージの上から短パンをはいて、靴下をはく。それでもじんわりと冷えてくる。ふつうに寝ていると冷えるから、寝袋のなかに入って横になり、呼気を外に出さないようにするとちょっとあたたまる。でもその態勢は維持しきれないから上をむいて口を寝袋の外に外に出すとまた冷える。その繰り返し。
隣のテントのおやじ2人は2時半ごろに起きる。ご来光をみるためだろう。
いったん静まってじんわり明るくなってきた4時半に起きる。
出発は5時20分になった。
はじめは草原の木道を歩き、その後、一気にのぼる。きのう熊がいたという山だ。
6時5分に展望台にでる。木曽の御岳山、乗鞍、穂高、槍、剣や立山がすべて一望できる。
花も標高や気候が変化するせいか種類が次々にかわる。展望台のあたりはリンドウ?やクロユリが多い。
展望台の尾根は風が強い。〓方面からの登山道と合流し7時15分に室堂に着いた。
フランスパンをかじって40分出発。目の前の頂上へ。のんびり50分かけてのぼった。
頂上2700メートル。けっこうな風だ。
独立峰の御岳山は雲の上に頭を出している。
北アルプスもすべて望める。
眼下には翡翠色の池がいくつかあり、最後に残った雪が割れて落ちている。
頂上を後にして池をめぐる。
岩がごろごろした斜面をくだる。表の白山は緑でどっしりしているが、裏はガリガリゴツゴツ。
9時40分、小さな池のほとりで休憩。室堂までは広々としたハイマツまじりの草原をくだる。
チングルマやらの群落がすばらしい。
「アルプスの少女ハイジの斜面やぁ」「お花いっぱーい」。サルも大喜び。
10時40分、室堂着。今日中に下界におりるのはやめて、もう1泊することに。
ということで、室堂小屋でカップラーメン(300×2)を食べる。
11時20分発。
一面に白い穂のような花が散らばる。コバイケイソウだ。
急坂はハイマツと岩場で歩きにくい。トンビ岩はその名の通りの形状だ。
サルはペースがはやく、休憩もとらない。ザックにつけた鈴が不自然なまでによく鳴る。熊が怖くて手で鳴らしている。一度も休まず12時半に南竜に到着してしまう。
生ビール700円を1杯。冷たくてうまい。
テントにもどってパンツをかえて川で水浴び。
15時から自然観察指導員?による植物の無料観察会があるという。
ボランティアのガイドのおじさんが3人。7月末から8月20日までは毎日メンバーのだれかが開催している。
以下はその説明。花を間近にして説明してくれるから刺激的でとてもおもしろい。
・紫の5枚の花はハクサンフウロ フウロは「風露」 ゲンノショウコの仲間。ギザギザの葉。
・クロユリ うんこのにおいがするのは、ハエが好きなにおいだから。
・イブキトラノオ 白いミニホットドッグのような花。その名の通り、においは獣臭い。
・ミソガワソウ クキが四角いのはシソの仲間
・紫の花は秋の花 トリカブトも。
・オニタデ 赤い花は雌、白い花は雄
・ミヤマトウキ(当帰) 白い花 セリの仲間
・ミヤマアキノキリンソウ 黄色い花
・バイケイソウ 高山ではコバイケイソウと呼ばれてきたが、同じ種類。トンビ岩のルートに大量にあった花。今年は10年に一度の開花状況という。ユリの仲間。バイケイとは梅の形という意味。猛毒。
・白山トリカブト
・ベニバナイチゴ 赤い花。実はえぐくてまずい。イチゴの種類で食べられないものはないが、味はさまざま。ノウゴウイチゴがおいしい。
・オオヒョウタンボクやドクウツギは、きれいな実だが毒がある。
・イワイチョウは、丸い葉から白い花が立っている。葉が黄色くなるからイチョウの名がついているようだ。
・ミヤマキンバイ イチゴに似た葉に咲く5枚の黄色い花。
・アオノツガザクラ 提灯型の地にはうような植物。アオというのは緑色っぽい花だから。アカもある。花は下を向いているが、実ができると上を向く。種を飛ばすためだ。
・ミヤマカラマツ 葉が特徴。
・チングルマ 白い花。谷間には満開だが、道路を挟んだ山側は、髪の毛が逆立てたような種だけが残っている。風媒花。雪どけがはやかったところはもう花が終わり、遅くまで雪があったところは花が残っている。今年は遅くまで雪があったから今でもきれいに咲いている。
・ハクサンオオバコ ウサギの耳のような葉。白山でもこの近辺でしか見られない貴重な植物。下界のオオバコと交雑するようになって問題になっている。別当出合の駐車場が舗装されたのは、オオバコの種を防ぐためだ。
・ハクサンコザクラ サクラソウに似ている花。
・イワカガミとイワイチョウ
・ミヤマタンポポ がくが反り返っていて、一見西洋タンポポだが、これは外来種ではない。アザミも、タテヤマアザミ。
・オオバミズホウズキ ラッパのような黄色い花。花が終わったあと、小さな実ができるのを「ほおずき」と言ったようだが。
・白山では250種類あるといわれるが、70から100種類が西限だ。ハイマツやクロユリもそうだ。
きのうよりもさらにテントが多い。きのうは50張だったからきょうは80ぐらいはあるだろう。飲料の出店もできている。
フリーズドライのビーフシチューと飯と大豆をまぜてあたためる。出店でビールとカップ酒を買った。
ショートパンツ姿の山ガールも多い。目移りするような女の子が山上にいるなんて……時代はかわった。
となりは団塊世代のような夫婦。インスタント食品でスープ、メイン、デザートと「フルコース」にして奥さんにふるまっている。後ろは60台ぐらいだろうか。鉄板のような調理器具をもってきて、肉を焼いている。
山小屋前の建物の2階で「南竜 星空のステージ」と称するライブがある。こだま山岳会が主催で勤労者山岳連盟が後援。
午後6時半からはじまる。ジロー・ヤマダという若いアマチュアミュージシャンが、クラシックギター片手にボサノバのような曲を演奏し、唄った。
歌はアマチュアだが、ギターはとてもうまい。標高2000メートルで音楽を聴けるのは楽しい。
客は100人は集まっている。ジローさんは乗り気じゃないようだが山岳会から「フォークを」と言われて、松山千春をうたった。フォークになると、中高年はがぜんのりがよくなる。
南竜山荘の支配人は白山市の地域振興公社の職員だ。「秋はのんびりして楽しいですよぉ」と言って、いくつかの歌をギターを弾きながら披露した。そして、こだま山岳会の人がつくったという「南竜讃歌」の合唱。山上では1970年代が今もつづいている。
夜、昨日ほど寒くない。
■20130818(日)
5時半起き。霧がたちこめている。
ラーメンと餅を食べる。こんなもん、下界では食べようとも思わないが、山の上ではおいしく感じる。テントを撤収し、山小屋のわきで山では珍しい水洗便所を借りる。
7時すぎ出発。
ニッコウキスゲの咲き乱れるエコーラインを見て「ねぇ、室堂まで歩こうかなぁ」とサルが迷っている。どっちでもいいよ、と答えたが、当初の予定通りまっすぐくだることに。
重い荷物を背負っているのに1時間2時間歩いても膝がわらわない。五本指シューズでふくらはぎが鍛えられたからかも。
サルに言わせると「鍛えていない私も膝が痛くなっていないんだから、サポーター効果や」とのこと。
10時ちょうどに別当出合いに到着する。10時半のバスで市ノ瀬に降りて、総湯へ。久しぶりの風呂は気持ちよい。
瀬女の道の駅のソバ屋は行列ができている。ここではアイスを食べていた。車でちょっとくだった「にわか工房」(076・255・5930)へ。1100円の大盛りの「にわかソバ」を頼んだ。大盛りだからソバが2杯分。そば団子もついている。歯ごたえも風味も抜群だ。店もゆったりしていて雰囲気もよく大満足。熊の燻製を売っていたから買った。楽しみや。
銭湯では71.5キロ、帰宅後でも72.4キロに減っていた体重が、夕食を食ったあとは74.5キロに増えていた。体脂肪率17%を切ったのは久しぶりだが。
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