2011年12月29日朝、「帰ってきたら口直しに刺し身を食いたくなるんかなぁ」と言いながら能登の自宅を出発。
天気はひたすら悪い。妙高高原のSAは雪に埋もれている。なのに、長野にはいるとぐんと雪は減り、松本に近づくとほとんど消える。日本海と太平洋の気候のちがいがありありとわかる。
15時、諏訪インター。国道20号線沿いには郊外店がずらりとならび、蓼科へのビーナスラインに入ってインド料理やら北欧料理やらの店ができている。
うらぶれた蓼科湖周辺は、30数年前に遊んだゴーカートがある小さな遊園地が今もあって昔と変わらない。蓼科まで480キロ走った。
ピラタスのペンション村へ。女性が1人でやっている「飛行船」というペンションに泊まる。
若いころから山に登りはじめ、5年前に知人のペンションを引き継いだという。
ヤマブドウの食前酒、サラダやカルパッチョなどの前菜の皿。鮭のたじん鍋、ステーキ、デザート。どれもおいしい。ビール中瓶とワインフルボトル1本を開けた。
翌朝、麦草峠のヒュッテに電話すると、「スノーシューはいらないと思います。アイゼンがなくても大丈夫な程度です」。せっかく買ったスノーシューは車内に置いていくことにする。
9時半ごろ、ピラタスのスキー場へ。色とりどりのスキーウェアがカラフルだ。ここは東京の延長なのだ。ロープウェーで山頂駅へ。
スキーやボードをもつ人でいっぱい。9割はスキー客。登山客は1割ほどだろう。
山腹を南に向かう小道を麦草方面へ。人っ子一人いない。中途半端な雪だから、木道が隠れていて、ふみはずすとずぼっと埋もれる。
途中の展望台からは目の前に木曽駒をはじめとした中央アルプス、左手にまだ雪が目立たない南アルプスの甲斐駒など。
右手には穂高や槍が望める。
道すがらあちこちに動物の足跡がついている。
雪をくぼませる糞があたたかくありがたく感じる。
これはカモシカではありません。
出逢いの辻を大石峠に向かって少し歩くが、そのうち踏み跡がなくなってしまい、引き返した。
まもなく麦草峠にむかう車道に出て、20分ほどで麦草ヒュッテに到着した。
中に入ると薪のストーブが燃えていてあたたかい。
まだ13時前だから荷物を置いて白駒池方面まで歩くことに。
目の前にあす歩く候補の茶臼山がみえる(写真は帰途)。稜線は厳しいかなと思ったが、「アイゼンがなくても行けそうなぐらいですよ」とのこと。
樹林帯のなかをしばらく歩いて白駒池につく。
完全に凍っている。白駒荘はこの時期は閉鎖している。ぐるりと逆時計まわりで1周する。
ニュウ方面の踏み跡はあまりない。やっぱり明日は茶臼山にしよう。木道の上が歩きにくい。
こんな山小屋に泊まるのも楽しかろう。
池の岸から2、30メートル沖合にツルハシで氷に穴を掘って水をくんでいる。
のぞくと厚さ3、40センチもある。天然のスケートリンクだ。
宿泊客はけっこう多い。17時半からの夕食はほぼ満席だ。手づくりのハンバーグや豚汁がおいしい。
夏場は風呂もあるが、冬は凍結するから食堂の水道ひとつを順番に使うしかない。
外にでてみる。星がすばらしい。オリオン座もプレヤデスも見える。星にくわしい人がいて、おうし座のカペラやらなんやらも教えてくれた。双眼鏡があると楽しい。
部屋は寒い。ストーブをつけてもいっこうにあたたまらない。外の気温はマイナス13度という。毛布の上に掛け布団2枚をかける。息がゴジラのように真っ白になる。窓ガラスはバリバリに凍り付いている。消灯後は石油ストーブを消し、かわりにハロゲンストーブをつける。押しつぶされるようなふとんをかけているから体はあたたかいが、肩と足もとが油断をするとすぐ冷えてくる。
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