10月10日、登山口の別当出合への道路は、連休中で閉鎖され、市ノ瀬からシャトルバスが往復している。バスの待ち時間などのロス時間が多く、歩き始めたのは午前8時になった。
別当出合は標高1260メートル。白山の山頂は2700メートルだから標高差は1400メートルほどだ。
往路はもっとも利用者が多い砂防新道をのぼる。
久しぶりの登山だが、スパッツ姿の山ガールの多さに驚く。
スパッツはひざなどの保護になるんだそうだが、真新しすぎて違和感を覚える。元祖山ガールのおばさんたちは、昔ながらのカッターシャツ姿。
時代によって服 装も変化しているのだ。よくよく見ると、登山用のカッターシャツを着ている若者はいない。フリースと新素材のシャツばかり。私らのかっこうはひと世代古い ようだ。
ブナなどの森を歩き、35分ほどでトイレのある中飯場の休憩所に着く。ダケカンバの幹が白樺のように白い。
眼下の谷には、折り重なるように砂防ダムがつくられている。
甚之助小屋(10時着)は昨年できたばかり。半分が公衆トイレで半分が避難小屋になっている。新しくて居心地良さそう。
10時半、南竜山荘方面への分岐点に着く。南竜山荘までは1キロ、室堂までは2キロだ。この時間からだと、南竜山荘に向かう人が多いのだろう。
ここからは等高線に沿ったゆるやかな登りがしばらくつづく。
あちこちに山の水がほとばしっている。水場が多いのは心強い。
11時10分、巨岩がコースの分岐点となっている黒ボコ岩に着く。
ここからは、高山植物の草原のなかにつくられた木道を歩く。
最後にちょっとだけ登ったら室堂だ。
11時40分着。コースタイムより30分ほど短かった。
日が照ると暑くなり、上は長袖のTシャツ(下着)だけに。
でも曇ると急に冷えるから山用のカッターシャツを着て、さらに休憩中はカッパとフリースも活躍する。
山荘に泊まったら楽しかろう、と思ったが、「これからの時間、手持ち無沙汰になっちゃうし……」と、片道40分の頂上は今回はあきらめることにする。
12時50分発。 黒ボコ岩から観光新道に入る。
別当出合までの距離は砂防新道より100メートル長いだけだ。コースタイムが長めに取ってあるのはそれだけ急ということだろう。
目の前に「別山」などがそびえ、その下の砂防新道のコースがすべて見渡せる。甚之助小屋も見下ろせる。
リンドウや、アザミのような花がまだわずかに咲いている。
「馬のたてがみ」あたりにくると、眼下に殿ケ池避難小屋が見える。
行程のちょうど3分の1の地点にある小屋には14時に着く。コースタイム50分のところを1時間10分かかっている。
うちのサルには、登りは早いが下りは極端に遅くなるくせがあるのだ。
「このままのペースだと、17時のバスがぎりぎりやで」と言うと、急に真剣な顔になる。
コースの中間点にある、石舞台古墳のような巨大な岩には14時40分に着く。
枯れ野だった山が、標高を下げるにつれて鮮やかさを増す。
20分後に尾根をまっすぐ下る白山禅定道と別当出合へ下る道の分岐点にたどり着いた。
ここから別当出合までは2キロでコースタイム1時間、ということは、のんびり下っても1時間半ほどで着く。
5時のバスにはなんとか間に合いそうだ。
樹間から、今朝渡った吊り橋が見えてようやく16時15分にゴール。
白峰の公衆浴場「総湯」へ。1人650円。ぬるぬるした湯が疲れた体に心地よい。
国道沿いにある「田舎食堂」へ。ビールと日本酒1合、山菜あんかけ卵丼500円、ワカサギとふきのとうの酢の物(どちらも揚げてあっておいしい)、堅豆腐のサラダ。切り干し大根酢の物(付け出し)、干しダラとウドの皮のきんぴら(付け出し)……。食材が豊かじゃないからこその節約工夫メニューだ。おいしくて安くて大満足だった。オヤジが商品化したという地元産唐辛子をつかった醤油を土産に買ったのを含め、2人で2500円だった。
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