高齢化率6割に迫る限界集落・金蔵(輪島市町野町)にはなぜか5つも寺がある。この集落で8月16日に催される「金蔵万燈会」は前々から楽しみにしていた。
18時ごろに出かけると、すでに路上には車がたくさんとまっている。
集落の一番下に車を置いて、まずは高台にある金蔵寺へ。
参道の畦道沿いもガラス瓶に入ったロウソクがあり、ボランティアの若者らが次々に点火する。
本堂前で金沢の合唱団が歌声を披露している。アブラゼミとミンミンゼミの蝉時雨が降り注ぐなか、ずっと下の田んぼまで声が届く。
正願寺は、境内一面ワンカップの燈籠だらけ。
ろうそくの火のせいで気温が上昇しているのか、ムンという熱気がただよう。
暗くなるにつれてロウソクの火がますます鮮やかに。境内と道沿いだけじゃなく、田んぼへりなどにも多くの灯火が星のようにまたたいている。
慶願寺のカフェ「木の音」も満席だ。
集落の年寄りと、ボランティアの若者がいっしょになってつくりあげる質の高いイベントだ。メイン会場の広場周辺には出店がならぶ。若い子も多い。カキフライ(500円)や握り飯がうまい。女性グループ「あかり会」の古民家も扉などをとりはずして、フル回転している。
5つの寺がそれぞれイベント会場になり、ロウソクに浮かぶ小径がそれぞれを結び、棚田には天の川のように火がともる。3万ものロウソクの火のせいで、集落の気温はおそらく1、2度は上昇している。
路傍の墓にも明りを灯す。年に一度のにぎわいを、ご先祖さんも喜んでいることだろう。
コメント