7月30日、南志見の水無月祭へ。
旧暦の6月末、1年の半分が終わった時点での厄落としの祭りだ。
国道から柳田方面への道に入ってまもなく、たこ焼きと何かの屋台が2軒だけ出ている。人はいない。祭りにしては静かだなあと思いながら、公民館の駐車場に車を置く。
田んぼのなかの真っ暗な県道に1基、キリコがあった。太鼓と鉦と笛を切れ切れに流しながら進む。さらにもう1本。
「里」という集落の集会所が八幡神社になっている。そこに到着する直前、突然、かけ声をかけてキリコが爆走しはじめた。
太鼓を激しく乱打して何度もお宮の前を往復する。そうやって計3基のキリコがそろう。
雨が降りだした。
みこしにビニール袋をかけ、キリコに付き添われて海岸側に数百メートルのところにある住吉神社に向かう。
田んぼのなかを進むキリコの灯を遠くから眺めると、なんとも言えない物悲しさがある。あの世のお迎えとでも言いたくなるような雰囲気だ。
みこしは住吉神社の境内に運び上げ、海側から来た2基とあわせて5本のキリコが神社の下の路上にならんだ。
太鼓の乱れ打ち。
みこしは男だけだが、キリコは女でもかつげるし太鼓もたたける。
静かな真っ暗な山里が、この日この時だけ、祝祭空間に変わる。
「ここでは祭りと仕事を選べと言われたらぜったい祭りをとりますから」と30歳代のあんちゃんは言う。
本降りになり、足下がずぶぬれになり、23時前に引きあげた。
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