夕方7時前に宇出津に着くと、中心街はすべて通行止めだ。
能登高校の近くの海岸沿いにある臨時駐車場に車を置く。漁船は大漁旗をかかげ、街から太鼓の音が聞こえてくる。
街に近づくと、法被姿のおじさんがうろついている。役場わきの通りは露天がずらりとならんでいる。
だぼだぼズボンのヤンキー風の兄ちゃん姉ちゃんだらけ。さすが漁師町。暴走族風に漢字を染め抜いた法被やらなんやら。
腰に座布団をぶら下げている連中が多い。なんだろう、と思ったら、キリコをかつぐための肩当てだった。
提灯のさがった家のなかでは10人近い人が集まって飲み食いしている。帰省してきた親類や町内の人が集まっているのだろう。
家に人をあげ、接待するという習慣が根付いている。子どもは楽しかろう。
路地にはキリコがずらり。赤ん坊をのせて携帯で写真を撮るお母ちゃん。太鼓をたたく小学生。
午後8半、ヒュルルルと海に花火があがる。港の対岸のキリコからお囃子の太鼓が流れはじめ、鉦や太鼓、笛の音が少しずつ増えてくる。
「まなみー!」「ひさしぶりー」と抱き合う女の子。
出発前のひととき、地べたに座り込んで一升瓶をラッパ飲みする男。
どーん!という花火の音とともに、広場のたいまつが点火される。
「イヤサカサッサイ、サカサッサイ」
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