大井川鐵道の福用駅から徒歩5分、古民家を改修した「野菊の宿」は、立派な大黒柱が2本もある家のつくりや、復元したいろりの雰囲気がすばらしい。ボロボロになっていた江戸時代の民家を、わずか数百万円で修復したという。
訪ねた日は、オーロラの写真の上映会を催していた。この世のものとは思えない風景が、なぜかくすんだ古民家にぴったりだった。
古民家以上におもしろいのは、歴史や民俗にくわしいご主人がつくった「黄金の国ジパング」と名づけた石庭だ。
南米の最南端をぐるりとまわって、富士山と伊豆半島があるジパングへ。当時西洋人が発見していなかったオーストラリアは庭の枠の外につくられ、南極大陸はわずかにのぞいている。
江戸時代初期、スペイン人やポルトガル人はジパングの王(家康)に会うために駿府に来ていた。そんな歴史を石庭で表現したという。
大井川鐵道沿線はお茶畑が広がる。1日2回はSLが黒い煙をあげて走る。これだけ雄大で変化に富んだ里はめったにない。
小さな駅にたたずむだけで、なつかしい気分にひたることができた。
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