どうしようもない鬱状態でも見られる映画のひとつが「寅さん」だ。
行きたいところも、したいこともないのだけど、せっかく東京に来たからおそらく30年ぶりに柴又を訪ねた。
駅を降りると昭和のにおいのする商店街。ウナギや川魚の食堂、ソバや駄菓子、だんごの店。冷たい雨が降っているのにどこもにぎわっている。
商店街を抜けると柴又帝釈天だ。「御前さま」が目の前に現れそう。
帝釈天から右手にちょっと歩くと「寅さん記念館」がある。
破天荒な寅さんは、聖母マリアのようなサクラがいるから成り立った。いつも寅さんを心配して、持ち前の明るさでみんなに愛されていた。あれ? どこかで似た構図があったなあ。
タコ社長ほかの登場人物も、カネにとらわれず人情を大切にして生きている。高度成長以前、江戸からつづく古き良き社会のあり方だったのだろう。そんな社会の残照が寅さんだったのか。
併設の山田洋次ミュージアムでは、「下町の太陽」や「学校」など、彼の一連の作品が映像やポスターなどで紹介されていた。
休業中の「矢切の渡し」を見学して、ちょっとかわいい中国人の店員さんがいる中華料理店で昼飯を食べて帰った。
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