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遍路④徳島のまち 20190210

 朝はおばさんが出てきた。「跡継ぎができてよかったですね」と言うと、「ひとりになったらよおせん、って言われてます」。
 7時発。鮎喰川沿いを下る。きっと鮎が豊富なんだろう。

 沈下橋を渡ると、完成度の高いかかしがいくつもある。阿川地区のかかしは神山町の名物らしい。
 遍路道で駒寄峠を経て、1時間ほどで郵便局や学校、商店がならぶ広野という集落に出た。小学校の公衆便所で休憩する。

 県道沿いに2番札所以来目にしなかったコンビニがある。徳島市に入ると遍路道の標識が急に減った。自治体の力の入れ方がちがうのだろう。自転車に乗った若い男性遍路に追い抜かれた。彼は札所ごとにしっかり読経するから、しばらく抜きつ抜かれつを繰り返すことになった。

 10時、県道沿いの13番大日寺に着いた。旅館や宿坊もある。道路を挟んだ反対側は神社だ。もとはひとつだったのだろう。連休だから10人近い人が参拝している。

 大日寺から川を渡り、ため池のある山際を30分歩いて、14番常楽寺へ。本堂や大師堂前は千畳敷のような岩がむきだしになっていておもしろい。

 15分歩くと15番国分寺。こちらは本堂改築中で殺風景だ。
 都市近郊だから家の新築が進んでいる。今後は住宅が増えるのだろう。正午に16番観音寺に到着。犬を乗せたリヤカーのようなものを自転車で牽引する男性がいる。参拝者も多い。「おとといまではほとんどいなかったのに、きょうは団体のバスも来ました」と納経所の女性。

 寺の近くに造り酒屋がある。「国府」と書いてコウと読む地区も。古代阿波の中心だったのだろう。
 都市郊外の農村集落を歩いて17番井戸寺に着いた。赤い門があり、建物も豪華だ。札所は儲かるのだ。

 ここで、きょうのビジネスホテル(ホテルアルファ)とあすの「金子や」の予約を入れた。
 上鮎喰橋をわたり、眉山を東から南へ回り込む。
 二人で歩いた道に近づいてきた。眉山の神社の石段の下にあんみつ屋がある。眉山のふもとは宗教の施設が多い。落ち着いていて金沢城の周囲のまちと似ている。

 「中華そば いのたに」は、有名な店なんだろう。前回歩いた時は「支那そば」の店が目についた。「中国花嫁」という張り紙もめだった。どちらも見当たらない。中国人観光客が増えて名前を変えたのかもしれない。

 ロープウェーの駅舎はよく覚えている。ここからは思い出と向き合うことになる。
 15時半、アルファホテルに到着した。24.7キロ、39300歩。
 夜、「花盛り」という居酒屋に入った。奥の部屋で宴会があって、活アナゴの刺身と酢の物(ハモとサバと野菜?)を頼んだがなかなか出てこない。地酒の「芳水」と「三芳菊特別純米」を飲んだ。前者はふつうに飲みやすく、後者は、どぶろくのような酸味があり、中国の老酒ともちょっと似た味だった。

 アナゴの刺身はおいしい。脂がのっていながら、歯ごたえはしこしこ。3900円。(つづく

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