晴れで気温17度の予報だ。12月以降はめったにないカヌー日和だ。
11時に古座駅に自動車をとめて、古座川の橋の下へ。
組み立てて12時に出発する。
川面に浮かぶ水鳥に近づくといっせいに飛び立つ。
左岸の古座のまちは、狭い土地に家が密集している。古座川は天然の良港だから、材木や炭を商っていたころはにぎわっていたのだろう。
出発点ですでに川の水はしょっぱかったが、河口の国道の橋に近づくと波が入ってきた。
逆光だから目の前に浮かぶ九龍島は黒々と浮かんでいる。陸側からはいつも逆光になるから「くろしま」なのだろうか。
右は串本、外海である左手からうねりが入ってくる。こんなに凪いでいて波の高さ60センチという予報の日でも、ゆっくりと上下する。
ゆっくりゆったり。だけどとてつもない力を秘めているように思える。こんな穏やか海でも海にはヌシがいるような気になる。
20分ほどで島に近づく。
崖面に洞穴がいくつもあいている。
台形の巨大な岩が島になったよう。
壁面がそそり立ち、上だけに木が生えている。
外海側の左手にまわってみた。こちらはざらざらした砂岩?が露出している。
ちょっとはゆるやかだが、上陸は難しそう。岬の先端に釣り人がいる。
外海側はうねりが大きく、磯に当たってあちこちで波立っているから右手に引き返す。
絶壁に囲まれた島は遠目には黒々としていて、近づくと絶壁が城の石垣のようだ。
いくつかの洞窟をのぞきながら進むと、絶壁に囲まれて日陰になったところに浜があった。
12時半、上陸する。小石の浜はカヌーにはちょうどよい。
左右に洞窟がある。ここなら水さえあれば人も住めそうだ。
洞窟に入ると、奥からドドドドという重低音が響いてくる。
反対側も海に抜けているのだ。
「イヌマキ、タブノキをはじめとする亜熱帯性植物が自生しています」という案内板があった。
浜の右端の岩場には船が接岸できるように桟橋のようなものがあり、階段が刻まれている。
よくよく見ると、山側に急な石段がある。
117段ほど登り切った頂上に、祠が二つあった。石でできているようだ。手前の祠が、この島の神様である弁天さんらしい。
わきの巨木はタブノキだろうか。鮮やかな緑の葉はオオタニワタリなのだろう。
反対側の外海は、ごうごうと音を立てている。
腹をゆらすような迫力と不気味さがある。
浜にもどって13:05発。
島の周囲を漕いでみる。
岩礁地帯を、水深をチェックしながら進むのは楽しいが、波が引いたときだけあらわれる岩があると緊張する。
陰茎のように直立する島がある。なんだろう、と思って右手の陸側にまわったら、目の位置に穴があいていて、魚の形をしている。
「鯛島」だ。
古座川へ引き返す。
河口をへて、出発点までは20分ほど。さらに上流の鉄橋の下まで行ってみた。中洲にはススキが生い茂り、水辺に茂っているのはカヤ?だろう。
何本かの灌木が育っている。こんな小さな中洲に、昔は造船所があって、第5福竜丸を建造したのだ。
中洲にまちができるほど人口が多かったのだろう。
中洲の周囲には水鳥がたくさん浮かんでいる。
14時、上陸。きょうは6.8キロ漕いだ。
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