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土佐遍路 羽根の峠と二十三士温泉

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アロエが道を彩る 

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右手の脇道へ

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右手に行ってはダメ

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お接待のトマトが箱の中に

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もうすぐ国道だ

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 国道をしばらくたどる。
目の前の海に突きでた羽根岬の海岸線を国道は走っているが、
地図でみると遍路道は山のなかをまっすぐに突っ切っている。
 14時45分、ドライブインに吸いこまれるように入る。
外はむちゃくちゃ寒いのに、大きな窓の室内はまるで温室のようにポカポカ。
コーヒーとトーストを食べながら30分ほど休憩する。
 20分ほど歩いて右手の脇道に入る。
畑と住宅が交互にならび、低層の新しい町営住宅がならぶ。
町営住宅のおじさんが声をかけてくる。
「わかりにくいから、右手に行ったらいかん。墓の方へむかっていけ」
 あぜ道のような道には看板も見あたらず、右手の山にわけいってしまう。
途中でおじさんの言葉に気づいて引き返した。ありがたい。
 静かな山道を5分ほどのぼっていくと、丸太のベンチが1つ。
発泡スチロールの箱が木の幹にぶらさがり、「お金はいらんきに」とマジックで書かれている。
ふたをあけると、赤と黄色のミニトマトがある。
気の利いたお接待だなあ。甘くておいしい。
 高知は接待が少ないって、「風の祈り」という本に書いてあったが、寺やら町内会やらがやる組織的なものが少ないだけで、個人単位のお接待はむしろ多い。
おそらく本の筆者は歩いていないから、そういう個人単位のお接待に接していないのだろう。
 15分ほど歩いて峠にでると、急に冷たい風が吹く。
山の上なのに、ビニールハウスがならび、民家まで点在している。
反対側からは車道がのぼってきているのだ。
急な坂を下り、16時35分に国道にもどった。
 日がすっかり傾き、もうちょっとで水平線に沈もうとしている。
横一線にならんだ雲が、真っ赤に染まっている。
雲に隠れ、また太陽が顔をだすときの赤い閃光が宝石のよう。
「遠き山に日は落ちて」のチャイムがちょっと離れた街から聞こえてくる。
もう5時なのだ。ちょうどチャイムが鳴り終わるころ、水平線の下に太陽は沈んだ。
 しばらく残照が家々をほの赤く染めていたが、やがて真っ暗になった。
 奈半利まではあと4キロほどだ。
 奈半利の町に入り、通り抜け、奈半利川を渡ると田野町だ。
東の山から、オリオン座が斜めに傾いてのぼってきた。
 川沿いに、目的地の二十三士温泉の建物が、電飾に輝いている。
新しくて、快適そう。
午後6時10分に到着した。
部屋は期待どおりきれい。
「わーい、きれいだ」「わーい、布団がふかふかだ」「わーい天井にしみがない」……
ひととおりはしゃいでから風呂へ。ぬるぬるの湯は最高に心地よい。
 食堂で鰹たたき定食2人前と、刺身盛り合わせ(イカ・イサキ・マグロ・カンパチの子)、手羽先の唐揚げ、ソフトクリーム、それに生ビールと酒をたのんで2人で6000円ほど。どれもおいしかった。
(1泊朝食8000円、食事代込みで2人で22000円) (つづく)