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土佐遍路 金剛頂寺と吉良川

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  ブーゲンビリアがいかにも南国っぽい。
コスモスがいまだ咲いているのにも驚かされる。

 しばらく国道を歩いてから右手の脇道に入る。
目の前には行当岬へとつらなる尾根。
この上に次の札所があるのだ。
 尾根に向かってまっすぐにぶちあたり、山道をのぼる。
舗装道路から山道に入ると心地よい。
「あと5分」の看板のあるところにベンチがある。
室戸岬方面を望む展望地だ。
遠く室戸岬の稜線の上には風力発電の風車がまわっている。

 11時半、山頂の金剛頂寺に到着する。
 大師堂前の椿はごつごつとイボがはえたような異形だ。
これを「ガン封じの椿」と呼んでいる。
賽銭や前掛けなどがそなえてある。
自分のために願をかけるつもりはないが、友人のために賽銭を置く。
(そのかわり本堂には……)

 11時50分発。稜線をこえただけで、冷たい西風がもろに吹きつける。
茶畑や蜜柑畑の点在する斜面を下るとまもなく道の駅「キラメッセ室戸」だ。
 天然ネイリ(カンパチの小さいの)、アカアジ(尻尾が赤いアジ)の開き、スルメ、寿司……もう、ポンカンも売っている。
 と、さっそくサルは「がんばもち」を手にレジに突進した。
「紫芋と黒砂糖あんこやて。絶対おいしいわ」
 歩きながらほおばると、たしかにうまい。
生地に芋が練りこんであるからちょっとざらつく感じでやわらかい。
さわやかな甘みがいい。
あっという間に5個食べ尽くす。
 塀の横、風の当たらぬ日だまりで休憩する。

 13時半、吉良川の町に入る。
雨水がしっくいの壁を伝わるのを防ぐための水切瓦や、なまこ壁の家、煉瓦の家などなど、やけに立派な建物が多い。
 しばらく歩いていたら看板が見つかった。
やっぱりなるほど、国指定の重要伝統的建造物群保存地区になっている。
明治から昭和初期にかけて、良質な木炭の集積地として繁栄した名残だという。
車では、旧道沿いのこうした町並にはなかなか出会えない。(つづく)