土佐遍路 室戸へ1
電車に乗って、牟岐と海部で乗り継ぎ、甲浦に着いたのは午後3時20分。
前回はここで元旦を迎えたのだった。
駅のわきの神社には円形の注連縄があった。風が強くて寒かった。
今は・・・生命力がみなぎっている。畑にはクローバーやらなんやら。
集落には鯉のぼり。浜ではサーファー。
そうか、このへんは波が高いからサーフィンのメッカなんだ。
小さな川の河口は潮が引いて細かい砂の浜があらわれ、潮干狩りができそう。
国道沿いにブンタンなどの柑橘をずらりならべておばあちゃんが売っている。
「おいしそう」とレイザルが眺めていたら、おばさんが「お接待します」と呼び止めてくれた。
小夏を2つずつくれた。
「えらいねえ。お遍路さんなんやねえ」
いまだに違和感を感じる。
歩かない人よりは歩く人のほうがお大師さんに近いのかもしれない。
彼だって最初から強い信仰があって歩いたわけではなく、なにかをさがして歩いたはずだから。
などと思ってみても、気恥ずかしさはぬぐえない。
小さな峠のトンネルをこえたら、生見浜がみえる。
1キロ以上つづく大きな砂浜に波が幾重にも押し寄せて、サーファーがうかんでいる。
午後4時10分「民宿谷口」をみつけた。
素泊まり3800円だ。おばあさんが愛想がよい。
ミカンの花の甘いにおいがただよってくる。
周囲には民宿やらペンションやらがいくつもある。
泊まり客はサーファーだらけ。
以前は正月からサーファーが来ていたらしいが、今はさすがに冬は少ないという。
「お遍路さんは疲れてるから先にお風呂に入ってもらってます」という。
宿に荷物をおき、風呂に入ってから散歩する。
浜沿いには、レンタルサーフボードの店やオープンカフェがあり、沖縄のよう。
浜にでると2メートルほどの波がときおり押し寄せてくる。
「瀬戸内海とはちゃうなあ。ハワイみたいや」
(これでハワイなら安いもんだ)
赤いウェットスーツのにいちゃんを指さして
「あの赤い人、ぜったいすごいで、みんな黒いのに1人だけアカってことは絶対自信あるんやで」
実際うまかった。
みんなが亀のようにちゃぷちゃぷやってるところで、
波に乗って立ち上がり、ススーッと大波を切るように斜めにすべっていく。
「共産党が赤い旗もってあんなかんじでサーフィンやったら絶対うけるんちゃうか」
「みちしお」という名の食堂へ。
「民宿の食堂かと思ったらどっちかっつうと『ラメール』やな」
たしかに「ラ・メール」だ。
メニューは、空揚げやお好み焼き、ハンバーグ。
ちなみにレイザルは「ハンバーグ定食!」を選んだ。
もう一度、浜にでる。
白人の女の子と日本人の子が砂に落書きしている。相合い傘とか、ほほえましい。
触発されたレイザルが
「あたしも書こう」となにやら書き始めた。
「憲法改悪反対」
「どや」と威張ってくるくせに、「はずかしいわ」とすぐ消してしまう。
コンビニで日本酒やらなんやらを買って民宿へ。
8時には就寝。
【本日の出費2人分】
甲浦到着まで 12000円
民宿代金 7600円
食堂 3200円
コンビニ 900円 900円
---計 23700