土佐遍路 室戸へ3
すぐに海側の国道にでる。
雲の切れ目から太陽の光がふりそそぎ、
海面の一部を鏡のように白く輝かせている。
7時、浜は丸い石や岩が一面にしきつめられた「ゴロゴロ浜」にでる。
なぜそんな名前をつけたのかなあ。
ごろごろしていて歩きにくいからそう命名したのだろうか、
と試案していたら、すぐわかった。
波がよせて返すとき、ごろごろごろと岩がきしむ音がするのだ。
「波の音をつくるとき小豆でやるやん。
これは大豆を使った音みたいやな」
道端に小さなお堂があり、山から水がわいている。
その昔、というかちょっと昔、自動販売機がなかったころはわき水がありがたかったろう。
10キロ以上商店も自販機もない道を歩いていると、しみじみとわかるのだ。
ひたすら急峻な山と海の間の道を歩き、8時40分ごろ、遠くに佐喜浜の集落が見えてくる。
「きっと普通の人は車でサーッって室戸岬までいって、海洋深層水ソフトを食べてんねん。
ミネラルがあるから体にええし、食べても太らん。待ってろよ。海洋深層水ソフトクリーム!」
15分ほどで国道から分岐して入木の集落に入る。
田植えをしたばかりの水田でカエルが鳴き、オタマジャクシが泳いでいる。
「仏海庵」という名の小さな庵がある。
すぐ近くに、石をつんだだけの墓がある。
いいなあ、こんな墓に入りたいなあ。
日付は「平成9年」。まだ土葬をしているのだろうか。
国道にもどってしばらくいくと、「ペットショップ」があった。
3階建てくらいの倉庫のような建物に、犬を檻に入れて放し飼いをしている。
「セックスマシーンやで。死ぬまでセックスしてぼろぼろになって死んでいくんや」