テレビで一休さんを観た。昔観たアニメじゃなくって、「名子役」による実写版のヤツ。
てるてる坊主の「母上様」や新右衛門さんなど、登場人物はアニメを踏襲していたので、懐かしかしさもあって、つい最後まで観てしまった。
ストーリーは、「このはしわたるべからず」や「虎退治」、「毒まんじゅうを食べて死んでお詫びする」という定番に、新たなバージョンが加わっていた。
とんちによる相談料で生計を立てる「ニセ一休さん」の登場や、吾助どん(さよちゃんのおじいさん)が流行病に倒れる、という話だ。
「ニセ一休さん」は、実は戦乱で両親を亡くした女の子で、身売りを避けるための「とんち商売」だったことがわかり、おとがめなしとなる。
吾助は流行病の感染を怖れ、寺を出ようとするが、手を握り引き留める和尚様によって思いとどまる。
一休さんは流行病で苦しむ庶民の姿を見せようと、将軍様(少年隊ヒガシ)とお忍び姿で京の街を歩く。
すると流行病に罹患した女の子からまんじゅうを差し出される。
庶民の窮乏に心を痛めていた将軍様は、お付きの者が止めるのも振り切り、あむーと、まんじゅうを食べてしまう。
おいしそうだったから、とか、おなかが空いていたから、ではなく、食べることで安全性を証明する、「菅直人のカイワレ大根」みたいだ。
「戦乱」は「震災」を思い起こさせ、流行病への偏見に対して、「手を握る」「食べる」という直接的な行為を示した和尚様や将軍様の姿は、原発事故による「風評被害」への「あるべき態度」を視聴者側に求めている気がした。
そしてドラマのメインテーマである、母上様の
「離れていても離れていないものは」という問い(答えは一休さんと母上)は、「絆」を思い起こさせるのにじゅうぶんだった。
一方、流行病の際、買い占め疑惑から、「薬を出せ〜!」と怒る庶民から店をボロボロにされてしまった桔梗屋さん。
日頃の高飛車な態度で庶民から信用されていなかったため、ひとたび事がおこると、ボコボコに叩かれる姿は、先の株主総会で話題になった企業のようだった。(その後、ケロリとアコギな商売を続ける姿も)
それにしても、感染症なら薬で治るが、内部被爆となるとその影響は未知数だ。
わたしはまんじゅうを食べる将軍様のシーンに、いいようもない不安を覚えた。まんじゅう、こわい…。
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