台風の影響で、遊びに行くあてもなく能登半島をドライブ。
松本清張原作の映画「ゼロの焦点」のロケ地などを周り、金沢方面に向かっていると、北陸電力志賀原発が見えてきた。
道路の両サイドを「立ち入り禁止」のフェンスが続き、ものものしさに圧倒されていると、突然美少女キャラの看板がお出迎え。北陸電力の原発PR施設「アリス館」だった。
土日だからか芝生広場は家族連れで賑わい、館内は子ども達が走り回っていた。
意を決し(?)館内に入るや、入り口にアリスのイラスト入りで「宗教・政治活動、ビラ撒き、集会禁止」の「ご案内」。
アリス、きびしい…。
最初の展示「アリスの森」では、テレビ、エアコン、電気調理器を使いまくり、オール電化住宅で便利な電化ライフを享受するアリスに向かって、ドゥドゥ鳥さんが、「電気がなくなると、この生活が続けられなくなるよ」と脅す。
そして原発の必要性と、エネルギーの「ベストミックス」(←というコトバは電力会社が考えたコトバだったのね)を訴える。
「ファンタジーシアター」では志賀原発1号機の25分の1模型の中にアリスと伯爵ウサギが登場し、原発のしくみを説明。
極めつけが燃料集合体と制御棒で作ったパイプオルガンで「海」などの童謡を奏でるアリス。
振り向き微笑むアリスは悪魔のよう。もはや地獄の黙示録。
(ちなみにここでは制御棒による「あんぜんのしくみ」について説明。)
ついでにチェシャ猫がミニシアターで「安全を守るしくみ」を紹介するコーナーに入ってみる。
すると、
「少しの間、お休みします」「今具合の悪いところを直しています。ごめんなさい」だって。
「具合が悪いところ」とゆーか、「都合の悪いところ」とちゃうの?
それとも、「ミニシアター」じゃなくて、不具合続きで停止中の1、2号機のこと? ううむ、深読みしてしまう…。
原発の安全性を強調するための「5重の壁」の模型も、厚さ2メートルもあるコンクリートの壁が吹っ飛んだのかと思うと、生々しくかえっておそろしい。
「アリスの花園」ではアオムシ博士が放射能が自然に存在することや、医療などの役に立つメリットなどを伝える。
トランプ庭師が核燃料サイクル(←とは書かず「原子燃料」と記述)について、
ウラン君とモックス君が持論をご開陳したかと思えば、最後のトドメは「放射能を計ってみよう」のコーナー。
土や海藻、煎茶などのサンプルが並んでいる。
きょうびもっと他に計ってみたいものもあるんだけど、持参はできないのかしら。
暗澹たる気持ちで展示室を出ると、館の来訪者として、数学者の秋山仁さんと由美かおるさんの色紙を発見!
やっぱりあの2人、つき合ってんだ〜…と、まぁ、どーでもいい感慨にふけり、ちょっとホッとする。
さらに2階のゲームコーナーへ。
「核分裂ゲーム」はウラン235に中性子をぶつけるというもの。
「君は何回核分裂を起こせるかな」って煽られたところで、これで仕組みを理解できるんだろか。
「絵合わせゲーム」は「止める・冷やす・閉じこめる〜時間内に完成させてね」って、ホント、工程表通り時間内に完成してほしいものだ。
しかも「止める・冷やす・閉じこめる〜挑戦したいゲームをクリック」って言われても、どれもやりたくないし…。てか、それができれば世話ないよ。
テレビのリハーサルテロップで「セシウムさん」とうっかり流して、番組がお取りつぶしになったことがあったけど、当事者(団体)である電力会社が、いまだにこんなことやってる方が不謹慎というか、不適切なのでは。ちっとも懲りてない!!
入場無料。原発の仕組みが悲しいほどよくわかる、今もっともホットなスポットではないでしょうか。北陸ドライブの際は、ぜひ!
余談
アリス館内にある「ガチャガチャ」は、カプセルに「当たり」とわざわざ書いてある。しかも無料。(受付のお姉さんに専用コインをもらう)
「ガチャガチャ」は、ハズレでもシリーズで集めたり、「あ〜、しょーもないことにおカネ遣っちゃったなぁ〜」と、自分なりに納得するのが醍醐味。
「当たり」など、価値観を他者によって決められ、しかも「無料」となると、射幸心まで奪われる。
親切なようで、上から目線の余計なお世話。原発の地元懐柔策や、やらせシンポジウムとどこか通じるような気がした。