NHK朝ドラの「おひさま」を毎日楽しみにしている。
大正10年生まれの設定の「陽子」さんに、ニシオカ先生や同時代を生きた自分の知り合いを思い浮かべ、置き換えて想像している。
屈託がなく、主義主張のない善良な「陽子」さんが生活する、決して暗くない「戦前」は、たぶん、そうだったのだろうと思う。
「なにげに戦争賛美」というフツウの人の日常の描き方がかえってリアルに感じられる。
自分の兄弟や夫が志願して戦地に赴いたけど、その「優しい日本の兵隊さん」が、余所の国で何をやったかなどはさておいて、ひとりひとりの葛藤や悲しみを通じて静かにドラマは進む。
ただ最近の陽子さんときたら、あまりに他人の悲しみに寄り添うあまり、「いい人」過ぎるので、陽子さん、大丈夫?と心配になってくる。
恋人が広島の原爆にあった同僚(夏子先生)の肩を抱いて「大丈夫、ご無事を祈りましょう」。
身代わりで恋人を死なせてしまった育子さんには、
「彼の分まで長生きしましょう!」と一緒に泣いてあげる。
大切なお兄さんが戦死しても、「心に太陽を」と、兄の言いつけを守ってケロリと笑っている。
陽子さんに不条理や怒りの気持ちは沸かなかったのだろうか?
玉音放送によって戦争が「突然」終わりをつげられたら、熱を出して倒れてしまう。
そして終戦の日の晩、松本の町に灯りが戻ったシーンで終わった。
「電気」イコール「平和」。むむ、そうきたか。(前日は東電の株主総会でした)
今までの「希望を持ちましょうよ」みたいなセリフが、「震災向け」のようで、しらじらしく思えてきた。
さぁ、明日からはいよいよ「戦後」の陽子さんだ。
きっと素直な陽子さんのことだから、困り顔で教科書に墨を塗りながら、戦後の「民主主義」を吹っ切れたように教えてゆくのだろう。
いや、怒りから戦争責任を問う活動に目覚めたり、日の丸君が代不起立を通したりする「筋金入り」になって、ドラマ後半を盛り上げてほしいものだ。(ご時世柄)
それとも、「戦後の民主主義は間違っている!」って息巻く保守オバサンとなって、安曇野の教育委員会に鎮座ましますか。
いやいやそれとも、未亡人になって「女の経済的自立が大事」とフェミ路線で、「タケオ」君と夫婦別姓のパートナー関係を選ぶのか。
どんな色にも染まる陽子さんの将来が楽しみだ。
流行語大賞
観測史上類のない被害をもたらした地震と、
チェルノブイリ並の原発事故を起こした今年の日本にあって、
まだやるのか?「流行語大賞」。今からよけいな心配をしている。
「すぐに影響が出る値ではありません」
「ベクレル」「シーベルト」「脱原発」「原子力村」…。
ああ、「節電」「スーパークールビズ」あたりが無難か…。
(で、誰が授賞式に出るの?)
原発関係以外他に思いつかないし、ぜんぜん笑えるものではない。
想像するだけでも不謹慎なんだけど、実際どうやってスルーするのか。
案外こういうところに社会のまじめさだとか誠意が表れると思う。